少しづつ、死んでいく。

決して暗い話のつもりではなく。
生き物は、いつか必ず、死を迎えます。
それは宿命。
ただそれが、突然やってくるのか、ゆっくりとやってくるのか。
普通は、自然死は、長い年月かけて、老年を迎えて、往生するわけですが、
病気や事故は、突然に。
母の場合は、そのどちらでもなく。
父は、十年前に、腹部動脈破裂で逝った。
母は最近、父と同じように逝きたい、と言うようになった。
幸せな最後を迎えようと思っていたのに、
突然に告知を受けて、それを受け止めているつもりなのだが、
それでも、徐々に、ゆっくりと訪れる死に対して、不安と恐怖を感じて。
死に対してというよりは、痛みに、辛さに、恐怖を感じている。
すでに毒されてしまった身体に、私は何もしてあげることができない。
ただ静かに、身体をさすったり、手を握ったりできるだけ。
母は、それを分かっている。
だけど、辛いものは辛いから、つい、早くなんとかなりたいと言う。
少しづつ死んで行く辛さを、私は知ることができない。
だが、考えてみたら、私自身も、年月をかけてゆっくりと死に向かってる。
それを意識することで、少しでも母の気持ちになれるのかも知れないなぁ・・・。