六甲病院での12日間。

こうして、結局19日から30日まで、
12日間の入院を果たしたのだが、その間、母の様子はめまぐるしく変った。
入院初日から、何故入院が必要だったのか納得いかない部分もあるようで、なんで入院するんやろ?と言ったりした。
また、医師には正月の家族写真を見せて、ちょっと泣いたりした。

最初数日は、それまでと変わりないように見えたが、
数日するうちに、なんだか見る見る弱っていくようで。
「もう、早くラクになりたい」
などと、医師に向かって言うようになった。

さらに、とにかく味覚障害がひどい。
病院食が(決して料理がまずいのではなく)味がしない。
土を食べてるみたい・・・
そういって、ひと箸もつけない日が続いて。
トイレ以外にはベッドから起き上がろうとしないので、
足は弱っていく。

こうして、まるで入院したために、病人になっていったみたい。

1週間ほどして・・・26日の朝、
その様子を見かねて医師に電話で相談した私は愕然とした。

体力が弱っている。食事を取らないのが続くようなら、
先は長く望めないかもしれない・・・

びっくりした。

でも、要は、本人の生きる意志に負うところが多いみたいで、
本人さえしっかりしてくれたら・・・ということだった。

その翌日から痛み止めの方法が、飲み薬を一部やめて
注射によるものに変った。

飲み薬による副作用を避けて、寄り少ない量で効果を発揮させるためだという。

母の様子が心配になった私は28日(水)は休みをとって、
母のそばについた。
すると、存外、母の様子はすこぶるよくって、
前々日にはしまいこんでしまった編み物さえ引っ張り出してきた。
う〜む。話が違うぞ?

しかし、やたらと眠たいようで、帰り際も、
私が帰るやいなや、すぐに眠ってしまったらしく、
退院にまつわる報告の電話をすぐにしたのに、
ついに出なかった。
きっと、注射による痛み止めのせいだと思う。